高齢者の施術
高齢者の体って??
高齢者の体は、若い人にくらべて背中が丸まり、膝が変形したり曲がったり。それは、長い時間をかけて筋肉や靭帯がかたまり、関節を固定してしまった結果です。そうなることで骨の動きが悪くなり、体の負担が多く、痛みを抱えやすいといえます。フレッシュな若者と比べると、体力や回復力が低下しているので、症状が慢性化しやすく一日の活動量も下がり悪循環になります。背中が丸まると足腰の負担が増え、各関節が痛みやすくなるのですが、痛みを改善するために丸まった背中を伸ばそうとするような施術は必ずしもいいとは言えません。施術者側は患者さんの姿勢が悪いと、その姿勢を治そうとアプローチしたくなるのですが、高齢者のかたくなった靭帯は簡単に伸びません。姿勢を改善する施術で、痛みが消えていくという変化がおこりにくいのです。
その理由は、そもそもの回復力が低下しているということや、高齢者のかたくなった骨や関節を直接施術しても簡単には動かないため、姿勢を相手にしても施術後の効果が思うようにでません。姿勢が悪いからといって、無理にでも伸ばす必要が本当にあるのか、本当にほしい結果は何なのか、患者さん本人や家族と良く話し合うことが必要です。
どんな施術がいいの??
高齢者に対して効果的なアプローチは、筋肉のストレッチのような、物理的に体を伸ばしていく刺激です。曲がってしまったものや、縮んでいるものに対して直接伸ばしていくストレッチがおすすめです。高齢者の筋肉は伸びにくくなっているので、優しく適度なストレッチをおこないます。関節や骨や筋肉という部分的なアプローチではなく、そもそもの体の弾力をつけてあげると痛みが改善したり、体が動きやすくなります。そうなってくると結果的に体の部分的な循環力が高まってくるので、代謝がおこり、柔らかくなってきます。
高齢者になればなるほど、直接的なアプローチはできるだけ避けたほうがいい結果になりやすいと考えています。また、痛みや症状だけではなく、今日までの調子を聞いたり、世間話をしたりして、患者さんの前向きな気持ちを引き出すこと、一歩先を見せてあげることも大切でしょう。